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酒づくり/麹(こうじ)

昔から「一麹(こうじ)、二酒母(モト)、三、造り」と言われるように、日本酒醸造に麹は最も重要なものと言われていますが、麹は、いったいどのような働きをするのでしょうか?

麹の働き

  1. 麹の中の酵素が米のでんぷんをブドウ糖に変える
  2. ビタミンなどの栄養素を酵母に供給し、酵母の増殖を促す。
  3. 酒の香味に大きく影響する

デンプンをブドウ糖に変える

一般に穀類を原料とする醸造では、穀類中のデンプンを糖分に変える必要があり、日本人はカビの中でも非常にこの作用の強い黄麹カビにその力を借りました。実際には、緑色です。
日本酒に用いる麹は、蒸し米に麹菌というコウジカビの胞子をふりかけて育てたもので、米麹(こめこうじ)とも言います。米麹は、コウジカビが生成するデンプンの分解酵素であるα-アミラーゼやグルコアミラーゼを含み、これらの働きによって糖化が行われます。
これは、ご飯を噛んでいると甘く感じる原理と同じです。唾液中の酵素が、ご飯の中のデンプンを糖分に変えているからです。日本酒の始まりは、米を噛んで造った「口噛み酒」とも言われています。

発酵してアルコールが生成されます

もろみの中では、麹により糖化された糖を酵母がアルコールに変えるのですが、米麹は、デンプンのほかにタンパク質の分解酵素も含んでおり、分解によって生じたアミノ酸やペプチドは、酵母を増殖させ、酒の風味に大きく影響します。糖化と発酵というまったく違う作業がひとつのもろみの中で同時に行われています。このことを並行複発酵といい、日本酒が世界の醸造酒の中で一番高い、20度近くのアルコールを生成できる理由でもあります。

約35度まで冷ました蒸米を麹室に引き込みます。ここで麹床いっぱいに広げ種麹を振り掛けます。この時、目の細かい布を使い、純粋に菌糸だけを降りかけます。
杜氏は、まさに真剣勝負で、添えだと、蒸米140kgに対してたった30gの麹菌しか使いません。自然対流を待つので、動くことも、話すこともない、静かな緊張の時です。

種麹を振り掛けた後、約32度(純米大吟醸は約30度)になったら山のように盛り上げて、これ以上温度が下がらないようにします。そして夕方には、一度広げて揉みほぐし、もう一度盛り上げて次の朝まで待ちます。

次の日の朝、米の固まり状態になっているのを、ほぐしてパラパラ状態にします。麹米は一粒一粒に小さな白い点が見え始めてきます。これは麹の菌糸で、これが見え始めてくると発熱し出すので、このまま大きく盛り上げていると、どんどん温度が上がってしまうので、小分けにしてやります。

約34度で仲仕事と言って一度麹に手入れをしてやります。丁寧にかき混ぜて、温度の上昇を押さえてやります。ほおって置くとそのまま温度が上がっていってしまい、米の外側だけに菌糸が伸びてしまうから、ゆっくりと温度を上げます。麹の菌糸が米の中に中にと入り込んでいくようにします。

麹菌も呼吸をしているので、ガスを抜いてやったり、湿度を一定にするため、約39度になったらもう一度手を入れてやります。これを仕舞仕事といいます。

仕舞仕事では、麹に3本線を入れて、箱いっぱいに大きく広げてやります。このころになると、麹自体の発熱が室温を上回ります。最後は43度くらいまで温度が上がり、そのまま10時間以上40度以上の温度を持続させます。

 

2昼夜、約50時間かけてできた麹は、出麹といって、麹室から出されて酒造りの温度まで冷やして、乾燥した後使います。

麹を作る麹室(こうじむろ)は、暖房で温度は30℃くらい、湿度は60%以下に保たれています。温度が高いのは、そうしないと黄麹菌が健全に培養されないからであり、また湿度に関しては、それ以上高いと黄麹菌以外のカビや雑菌が繁殖してしまうからです。ですから、関係者以外は入れません。それに加え、室外から雑菌が入り込まないように密閉窓、断熱壁などの工夫がされています。(換気口はついています)

 

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