酒づくり/酵母・酒母

酒母造りとは、酵母を増やす行程のことで、「もとだて」とも言います。

酵母にはブドウ糖をアルコールに変える働き、すなわち醗酵作用があるものの、大量の米を醗酵させるためには、微生物である酵母が一匹や二匹ではまったく足りず、米の量に見合っただけの酵母が必要となります。

それで、アンプルに入っている少量の酵母を大量に育てます。このように大量に培養されたものを酒母(しゅぼ )といいます。

アルコールをつくる主役は酵母です。

酵母は糖分を発酵してアルコールにする力を持つ微生物で、もちろん清酒を造る主役でもありますが、アルコールだけではなくて、あのすばらしい吟醸香や、味の成分となる酸などの清酒らしい香味をつくり出す菌でもあるのです。

現在の清酒酵母は、明治37年に設立された醸造試験所が、全国の銘醸蔵からたくさん酵母を分離して、優良な酵母を選択、培養して選ばれた「協会酵母」が主流を占めています。

それで、白龍でも、協会酵母の中でも秋田県で開発された秋田酵母、石川県で開発された金沢酵母、また、明利酵母など、目指す酒質により酵母を使い分けています。

白龍では、速醸酒母で酵母を育てております

さてこの酵母を大切に育てるために、日本酒造りでは「酒母」をもろみの約1/14の大きさで仕込み、純粋にしかも健全に酵母を大量に育てます。酒母は大きく分けると、山廃系酒母と速醸系酒母の二つの種類になります。

山廃酒母は、自然の乳酸発酵を利用して酵母の純粋培養を行いますので、いろいろな微生物が速醸酒母に比べて含まれるので、酒に重厚な酸味があるのが特徴です。そして酒母を造る期間が約一ヶ月と長くなります。

一方の速醸酒母は、あらかじめ純粋に生成された乳酸を最初に使用し、酵母以外の微生物が増殖する期間を省き、より純粋にかつ安全に酵母を育てる酒母です。風味は山廃酒母のように酵母以外の微生物の増殖がないので、さらりとしており、香りも良好で、酒母を造る期間も二週間と短いです。白龍では、目指す酒質からも速醸酒母を採用しております。

白龍での酒造り

(1)酵母タンクの中に水、麹、酵母、乳酸を入れます。
(2)蔵元が、両腕をアルコール消毒して、自分の腕を櫂棒の代わりにして、麹がつぶれないようにやさしく攪拌します。
これを水麹と呼んでいます。 
(3)その後、蒸しあがった米を40度まで冷まして小さな酒母タンクへ入れます。
こうして酒母のもろみを仕込みます。もちろん、布で運び、手作業です。仕込みの温度は、20度くらいが目標です。 
(4)蒸米の量が水麹に対して多く、満遍なく混じり合わないので、このように米をつぶさないようにやさしく手作業です。
「てもと」と言います。
(5)アルミ製の筒を真ん中に立て、その中にたまる液を満遍なく酒母もろみに掛けていきます。これは、ちょくちょく酒母室を覗いて、気が付いたらします。
(6)暖気(お湯を入れたタンク)を入れて、もろみの温度を毎日少しずつ上昇させながら、糖化と酵母の増殖をうながします。ダキの周りからは、泡が。
(7)酒母の表面です。1日1日 泡の状態は、違ってきます。
この泡の状態で 今、酒母がどのような状態にあるか判断します。
約8日~10日後になると、酵母が大量に増えて糖分からアルコールや酸をつくるので、酒母としての条件が整ってきます。これ以上発酵させてしまうと逆に酵母が弱っていくので、もろみの温度を下げます。
このようにしてできた酒母が、もろみ仕込みに使われます。

 

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